HER2陽性乳癌の新薬DS-8201の治験を受ける前に知っておきたい7つのこと

この記事の科学的根拠レベル★★★★★

HER2陽性乳癌の新薬DS-8201について

HER2は細胞の分化、増殖の働きを手助けするたんぱく質です。HER2は正常細胞の細胞膜表面に発現しておりますが、乳癌患者の約15-30%の癌細胞にもHER2は発現しております。

正常な細胞でなく癌細胞の表面にHER2が過剰に発現する場合、癌細胞の分化、増殖が異常に早くなり、結果として癌の進行が進みます。

そのため、HER2陽性乳癌の治療は他の乳癌の治療方法とは異なり、HER2を標的とする抗体薬であるハーセプチン(トラスツズマブ)などが第一選択薬として推奨されています。

『乳癌診療ガイドライン』で最も推奨されるHER2陽性乳癌の一次治療はハーセプチン+パージェタ(ペルツズマブ)+ドセタキセル併用療法、二次治療はカドサイラ(トラスツズマブエムタンシン)療法と記載されています。

最も推奨される薬の内、ドセタキセルを除いてはすべてHER2を標的とする抗体薬からも分かりますように、HER2陽性乳癌の場合は基本的に抗HER2療法の継続が推奨されています。

しかし、すべての種類の抗HER2療法を使い切った後に再び同じ抗HER2療法を使用することは、一定の効果があるものの『乳癌診療ガイドライン』強く推奨されるほどの高い有効性はありません。

そのため、HER2陽性乳癌におきましては三次治療以降でも科学的根拠を持って強く推奨される治療方法の開発が待ち望まれておりましたが

DS-8201

の登場によりそれが実現する可能性があります。DS-8201はパージェタ、カドサイラによる治療後のHER2陽性再発乳癌患者に対して46.7%(30人中14人)のRR(奏効率)が確認されました。

第一相試験でありがながら、パージェタ、カドサイラなどの抗HER2療法を使い切った後の患者を対象とした試験におきまして、このような結果を残したDS-8201がいち早く上市されることが望まれます。

DS-8201の薬剤概要

製品名

未定

一般名

DS-8201

用法用量

未定(DS-8201として3週間に1回8.0mg/kgを静脈投与する)

効能効果

未定(HER2陽性再発難治性乳癌)

主な副作用

未定(血小板数減少、好中球数減少、貧血症、白血球数減少など)

製造承認日

未定

DS-8201の作用機序

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dsi.com

DS-8201はADC(抗体薬物複合体)です。DS-8201の抗体はHER2を標的し、HER2が過剰発現する癌細胞まで薬物を届け、その細胞まで届いた薬物が癌細胞を退治します。

DS-8201の最新情報

1)New Precision Medicine Data on DS-8201 in HER2-Expressing Breast Cancer Revealed at 2017 American Society of Clinical Oncology (ASCO) Annual Meeting

概要

パージェタ、カドサイラなどの抗HER2療法後のHER2陽性再発乳癌患者に対してDS-8201を投与した試験。結果は、RR(奏効率)が46.7%(30人中14人)、DCR(病勢コントロール率)が100%(30人中30人)でした。

出典

ASCO Annual Meeting

配信日

2017年6月5日

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DS-8201の治験情報

1)Study of DS-8201a in Subjects With Advanced Solid Malignant Tumors

治験の概要

乳癌を含む進行固形癌患者に対してDS-8201を投与して、副作用の発現率とRR(奏効率)を検証する治験

治験の期限

2017年12月

参照
1)第一三共株式会社プレスリリース
2)科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン