非小細胞肺癌の新薬キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の薬価は投与量により安くも高くもなる

ペムブロリズマブ

PD-L1発現率50%以上の非小細胞肺癌の一次治療として、その地位が確立したキイトルーダ(ペムブロリズマブ)。その効果の高さは、既存の化学療法に対してPFS(無増悪生存期間)OS(全生存期間)も有意に延長する結果を示したKEYNOTE-024試験1)でお墨付きです。

しかし、効果以上に薬剤を選択するで重視される薬価には課題があります。キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の国内における薬価は年間約1400万円ですから。特例の薬価改定の影響で安くなったとはいえ、年間約1400万円。新車のフェラーリが毎年買える治療費がキイトルーダ(ペムブロリズマブ)にはかかるのです。

もちろん、日本は国民皆保険や高額療養費制度など、患者の負担を減らす医療費制度が充実している国ですので個人の負担としては1400万円もかかりません。しかし、個人にかからなくても政府、回り回って国民に1400万円の負担がかかっているのです。

ですので、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)は有効性に見合った薬価、つまりコストパーフォーマンスをいかにして高めていくか?が今後の課題とされています。実際、アメリカのシカゴで2017年6月2日より開催されているASCO(米国癌治療学会議)2017でも下記演題が注目されています。

『A phamacoeconomic analysis of personalized dosing versus fixed dosing of pembrolizumab in first-line PD-L1 positive non-small cell lung cancer.』

この演題ではPD-L1発現率50%以上の非小細胞肺癌の一次治療としてキイトルーダ(ペムブロリズマブ)を投与した試験の患者を対象に、その患者の投与サイクル数と体重よりキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の総投与量を計算し、固定用量で投与した場合と患者の体重に合わせて流動的用量で投与した場合の年間薬価を比較しております。

結果は、固定用量でキイトルーダ(ペムブロリズマブ)を投与するよりも患者の体重に合わせて流量的用量で投与した方が、米国だけでも年間8.25億ドルも安くなることが判りました。

国内のキイトルーダ(ペムブロリズマブ)の添付文書には、非小細胞肺癌における至適用量は1回200mgの固定用量が推奨されています。固定用量に設定したからこそ、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)は類似薬であるオプジーボ(ニボルマブ)よりも体重60kg以上の患者においては薬剤費が安くなっているのです。

この演題の結果を受け、今後は悪性黒色腫(メラノーマ)だけでなく非小細胞肺癌でも患者体重別の投与量が推奨される可能性があります。しかし、現在のところキイトルーダ(ペムブロリズマブ)は20mgと100mgの2規格のバイアルしかないため、どうしても残薬の問題が生じます。

例えば、体重55kgの患者に対してキイトルーダ(ペムブロリズマブ)として1回2mg/kgの用量で投となると、必要量は110mgですので100mgのバイアル1本と20mgのバイアル1本、つまり10mgのキイトルーダ(ペムブロリズマブ)が残薬となるのです。

この10mgの残薬を廃棄するのでなく再利用できるようになれば、キイトルーダ(ペムブロリズマブ)は非小細胞肺癌でも患者体重別の投与量が推奨されるようになる可能性は出てきます。有効性が十二分以上にある薬だけに、今後もコストパーフォーマンスを高める治療方法に関する研究が進むことが期待されます。

参照
1)Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer