PFS(無増悪生存期間)とOS(全生存期間)とRR(奏効率)の違い

病弱さんあのう。

医者どうされましたか?

病弱さん先日、主治医の先生から肺癌の新薬の有効性について説明を受けたのですが、言葉の意味が理解できていないせいなのか?その新薬の有効性について納得ができなかったのです。

健康オタク言葉の意味なんて素人がいちいち考えんな。新薬なんだから効くに決まってるだろ。ウジウジ悩んでる隙にポっくりイッちまうぞ。これだから病弱はあぁぁ。

医者まあまあ、健康オタクさん。それで、病弱さん。どんな言葉の意味が理解できなかったのですか?

病弱さんPFSとOSとRRの3つです。主治医の先生によれば、その新薬は既存の治療薬と比較してPFSは有意に延長するけれどOSに有意差はなく、RRは有意に縮小するとの結果が出てるから既存の治療薬よりも有効性が高いと言われてました。でも、OSって治療を開始してから死ぬまでの期間を示す指標ですよね?どうせ寿命に変わりがないのなら、薬価も高いし、副作用もなにが出るかわからないので、新薬の治療を受ける必要がないんじゃないか?と思いまして。

健康オタク3つのうち2つの指標が新薬に軍配あるなら、新薬の一択だろうが。グチグチ屁理屈こねてんじゃねえぞ、病弱うぅぅ。

医者まあまあ、健康オタクさん。病弱さんの主張も一理ありますから。抗癌剤など癌の新薬の効果を判断する代表的な指標としては、PFS(Progression Free Survival)とOS(Overall Survival)とRR(Response Rate)の3つがあります。

健康オタク
ぴーえふえす、おーえす、れすぽんすれいと?欧米かっ!

医者はい起源は欧米です。PFSは無増悪生存期間といいまして、治療を開始してから癌が進行せずに安定した状態を保てた期間。OSは全生存期間といいまして、病弱さんの言う通り、治療開始してから死ぬまでの期間。ただし、この死には癌以外にも交通事故などの死も含まれます。RRは奏効率といいまして、治療開始してから癌の大きさがどの程度小さくなったかを表す縮小率です。

病弱さん先生、薬の有効性を証明するこの3つの指標のうち、どれが最も重要なのでしょうか?

医者最も重要なのはなにかと聞かれますと、それはOSです。ですが、

病弱さんですが?

健康オタクで?

医者癌の状態によりPFS、RRもOSと同じくらい重要です。

健康オタクほら見ろ!俺の言った通り、3つのうち2つの指標に軍配があるなら迷わず新薬の一択でいいんじゃねえか!やっぱり、健康の秘訣は新薬と筋トレに限るなあああああ

医者多数決というよりも、癌の状態により重視される指標が違いますから。例えば、病弱さんのように進行した癌に罹患されている患者さんの治療目標は「治癒」でなく「延命」です。つまり、命を助けることではなく、命を延ばすことが治療ゴールとなりますので、PFSやRRなど安定した病状が保たれていることを表す指標が重視されるのです。

病弱さんなるほど。たしかに、進行した肺癌患者が5年間生きてる確率って数%って聞きます。どうせ死ぬなら、せめて癌による痛みを少しでも和らげて死にたい。そのためにも、癌を他の臓器に転移させないこと、腫瘍を大きくさせないことは大切ですね。

健康オタクけっ。そんな簡単に命を諦めらっれかよ。生きる確率が数%あるなら、残りは筋トレでカバーし、是が非でも俺はOSを延ばしにいくけどな。

医者PFS、OS、RR。どれを大切にするか?はたまた、どれも大切にしないか。結局のところ、それは患者さんの価値観により異なります。昔、僕の患者さんで1ヶ月先に娘の結婚式を控えた患者さんがいました。その患者さんには、新薬による治療を受ければ残り6ヶ月の寿命が9ヶ月に延長する。しかし、この新薬は顔など皮膚に強い皮疹の副作用が出る可能性が高いと説明したところ、『先生、俺は娘の結婚式に元気な顔を魅せたい。それが叶えば、あとはいつ死んでも構わない。ただでさえ、汚いこの面だ。抗癌剤でこれ以上面を汚くしたら娘に申し訳ない』と新薬による治療を、その患者さんは拒否しました。つまり何が言いたいかと申しますと、指標のその先に何をゴールにするか?が大切であるということです。

健康オタクいい話だなあああああああああ