家族が認知症になった時に知って欲しい4つのこと

この記事の科学的根拠レベル★★☆☆☆

アルツハイマー型認知症

本人が認知症になるのと同じくらい、いやもしかしたらそれ以上に辛いのが認知症患者の介護者になることです。

なぜなら、認知症患者は辛いという状況すら認知できないのに対して、その家族は辛いを認知できるからです。

知らぬが仏ではないですが、認知できるからこそ辛いで世の中は溢れています。

認知症の家族を抱えた将来に絶望を描ける想像力があるからこそ、認知症患者をその家族が殺害するという浅ましい事件がおきるのです。

認知症の母親を殺害した息子の理由を知ったとき、裁判官も涙をこらえきれず・・

正常な人を異常な行動へと駆り立てる可能性があるというこの意味で、認知症患者よりもその家族こそ、この認知症という病気について理解すべきです。

そこで本日は、家族が認知症になった時に知ってて欲しい3つのことをご紹介します。

なお、本記事で扱う認知症とは、日本で最も多いとされるアルツハイマー型認知症という認知症に限定させて頂きます。

1.認知症は治らない

認知症には、対処療法はあっても根治療法が残念なことにありません。そのため、認知症になったら死ぬまで認知症です。まずは、この残酷な現実を受け入れてください。

アルツハイマー型認知症を治療する医薬品といえば、1999年に発売されたアリセプトという薬が有名ですが、この薬の効果・効能には”アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制”と記載あります。

進行抑制と記載ありますように、この薬の効果は現状維持がやっとで症状の改善を期待はできません。

2011年以降はアリセプト以外にもレミニール、リバスタッチ、メマリーといった認知症の新薬が発売されました。しかし、残念ながら3剤の新薬ともにその効果・効能は進行抑制です。

以上のように、認知症の進行を抑えるための対処療法はあるけれど、症状を改善したり、発症を予防するなどの根治療法は現在のところありません。

2.認知症は治るかも?

認知症が発症する原因は、現在のところ明らかになっていません。だから治せないのです。しかし、認知症を治せる可能性のある有力な仮説が1つあります。その仮説とは、

アミロイドカスケード仮説

このアミロイドカスケード仮説では、アミロイドβと呼ばれるタウタンパク質の蓄積により脳神経細胞が死滅し、認知機能が低下することで認知症が発症すると考えられています。

この仮説に基づいた治療法を確立するため、製薬会社がこぞって新薬の開発を進めています。

その中でも日本の製薬会社エーザイは、「BAN2401」「E2609」「BIIB037」というアミロイドカスケード仮説に基づいた3つの異なる作用機序の新薬を開発中で、早ければ2020年に「BAN2401」と「E2609」が世に出ます。

これら新薬は認知症の原因とされるアミロイドβタウ蛋白を作らせない。分解する。認知症を発症させる特定部位に付着させない。と、3つの異なる機序を持ち合わせています。

もしも認知症の発症原因としてアミロイドカスケード仮説が正しいならば、この仮説に基づいて開発されている3つの医薬品の内どれか1つは進行抑制に留まらず改善傾向以上の効果を示すのではないでしょうか。

以上のように、認知症の発症原因は現在のところ明らかではないですが、アミロイドカスケード仮説に基づいた治療が開発されている現状に希望はあります。

3.治る認知症もある

根治療法がない認知症でも治るものは治ります。ここで使う治るという言葉の意味は、症状を改善させるという意味です。

認知症の症状は、大きく分けて中核症状と周辺症状の2つがあります。

中核症状とは脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状で、例えば記憶障害、理解・判断力の低下などです。これら症状は、認知症の誰もがなる症状であり、残念なことに治りません。

一方、周辺症状とは脳の細胞破壊からだけでなく、本人の性格、他人との関わりなどの環境から起こる症状です。

例えば徘徊、物盗られ妄想、便を掴んだり投げるなどの弄便(ろうべん)などがそれです。

これら症状は認知症になった本人の性格、家族などの環境により発症する症状は異なりますが、症状の改善または消失する可能性があります。

もちろんあくまでも可能性ではありますが、向精神薬などの薬物療法により症状の改善が証明されている事実は、認知症患者の家族にとっての希望です。

なぜなら、認知症患者の家族が辛いと感じる一番の理由は、認知症患者の周辺症状が原因だからです。

例えば、周辺症状の一種である徘徊をした認知症患者が電車に跳ねられ、その介護者が鉄道会社から損害賠償を求められた事件があります。

認知症男性の列車事故裁判でJR東海が720万円の損害賠償を要求

幸いにも鉄道会社の請求は棄却になりましたが、こんな事例を耳にすると、介護者は認知症患者を一人にして迂闊に外出もできません。

もしも認知症患者が死ぬまで介護者の外出や仕事を制限するとしたら、介護者はその将来に絶望を感じざるを得ないでしょう。

しかし、介護者の行動を制限する徘徊などの周辺症状は治る可能性があります。絶対ではありませんが少なくとも改善しない認知機能より改善への希望が持てます。

4.家族が認知症になったあなたへ

現在の医療で認知症は治りません。しかし、未来の医療で認知症は治る可能性があります。そして、治らなくても治せる認知症の症状があります。

もしも家族が認知症になったら、あなたはその将来に絶望を感じることでしょう。それはそれで仕方がありません。

しかし、その絶望の中から小さな希望を見出すだけの努力は絶対に続けてください。

認知症という病気を医師以上に患者以上にあなたが知り、そしてその治療法を一緒に考えてください。それが、認知症の家族を持ったあなたができるたった1つのことです。