アキレス腱を見るだけで突然死の危険性がわかるという話

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家族性高コレステロール血症

本文を読む前に1つだけお願いがあります。今すぐアキレス腱の太さをご確認頂けないでしょうか?

家族性高コレステロール血症

もしも上記図のようにアキレス腱の太さがつまんだ時に20mm以上ある場合には、記事を読まずに病院に行ってください。なぜなら、あなたは

家族性高コレステロール血症

の可能性があるからです。家族性高コレステロール血症(Familial Hypercholesterolemia : FH)とは、生まれつき血液中の悪玉コレステロールであるLDL(Low density lipoprotein)コレステロールが異常に増えてしまう病気です。

LDLコレステロールは肝臓の細胞表面にあるLDL受容体というタンパク質により細胞の中に取り込まれ、処理されるため血液中のLDLコレステロールの量は一定に保たれています。

ところが、家族性高コレステロール血症の人は生まれつきLDL受容体の機能障害、LDL受容体の数が少ない、また受容体の分解を促進するたんぱく質が多いため、肝臓でのLDLの取り込みが低下し、血液中のLDLコレステロールの量が増加しています。

健康な人のLDLコレステロール値は140mg/dL未満ですが、家族性高コレステロール血症の人のそれは200~400 mg/dLと非常に高いです。

そのため、年齢が若いにもかかわらず動脈硬化が進行している可能性があるのです。現に、家族性高コレステロール血症の人はそうでない人に比べて若年性心筋梗塞の発症リスクが約20倍と報告されています。1)

このように家族性高コレステロール血症は致死率が高い病気であるにもかかわらず、オランダ、ノルウェー、アイスランド、スイス、イギリス以外の国での診断率は10%を切り、日本にいたっては1%未満です。2)

家族性高コレステロール血症

Eur Heart J

以上のように家族性高コレステロール血症は日本において早期発見が困難な病気と認識されていますが、実は日常生活にとある習慣をたった一つ取り入れるだけで早期発見率を高めることができます。その習慣とは

アキレス腱の太さを確認する

ことです。家族性高コレステロール血症の診断基準の1つにアキレス腱肥厚があります。

アキレス腱が硬く太くなるのは、アキレス腱をはじめ肘、肘、などの機械的刺激を受けやすい場所にLDL由来のコレステロールが沈着するためです。

アキレス腱肥厚は、X線撮影によりアキレス腱の太さが9 mm以上と確認されれば診断となりますが、X線撮影以外でも視診、触診など簡易な方法で早期発見の可能性を高めることができます。

ですので、記事を読む前に確認して頂いたアキレス腱が万が一硬くて厚い場合には、家族性高コレステロール血症を疑い、今すぐ病院に行ってみてください。ちなみに左右差のあるアキレス腱肥厚はアキレス腱断裂の可能性があります。

国内における家族性コレステロール血症の患者は200 ~ 500人に1人、つまり30万人以上の患者さんがいると推定されています。聞き慣れない病名ではありますがとても身近な病気ですので、今すぐアキレス腱の太さをご確認頂けますと幸いです。

家族性高コレステロール血症

最後になりますが、冒頭と末尾で一部不快なスネ毛表現がありましたことこの場を借りて深くお詫び申し上げます。

参考文献

1)What are the risks with FH?
2)Familial hypercholesterolaemia is underdiagnosed and undertreated in the general population: guidance for clinicians to prevent coronary heart disease
Eur Heart J. 2013 Dec;34(45):3478-90a.